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多読
Nelson Mandela
かつて南アフリカで行われていた、
有色人種に対する人種差別政策
「アパルトヘイト」
に断固反対する運動に半生を費やし、
その後民主的な選挙によって大統領になった
ネルソン・マンデラの伝記です。
あらすじ(ネタバレあり)
反アパルトヘイト運動の先頭に立ちながら、
大学で法律を学び、
黒人初の弁護士事務所を仲間と共に設立。
全人種が参加する人民会議の開催に尽力、
国家反逆罪で逮捕されましたが、
裁判で無罪が確定します。
この頃はまだ司法に「良心」が見られたからなのか、
それとも適用した法律が穴だらけだったのか?
無罪確定後、マンデラは武装闘争派に転じます。
ストライキやデモ行進など、
非暴力的な手段では局面が打開できないからと、
発電所や鉄道の破壊を計画します😱(結果は不明)
マンデラが武闘派だったとは、これまた意外。
それを知っただけでもこの本を読んだ甲斐がありました。
というのも、伝記は往々にして美化して書かれるものだと思うからです。
そういえば、2013年に公開された映画「マンデラ 自由への長い道」でも、
マンデラを英雄ではなく、
欠点もある人物として描かれているそうな。
軍事組織の司令官になったマンデラでしたが、
数ヶ月後に逮捕され、裁判の結果、ついに終身刑を食らいます。
その時マンデラは44歳。
今のわたしと大して変わらない歳です。
そこから27年間、
71歳まで獄中生活を送ります。
女房こどもと住宅ローンを抱えた今のわたしなら、
間違いなく守りに入って、
逮捕されるようなムチャはしないはずです。
でも、マンデラがそんな「ヘタレ」だったら、
間違いなく彼は大統領になっていないでしょうし、
アパルトヘイト政策だって今も続いていたかもしれません。
マンデラの不屈の闘志は、まさに賞賛に値します。
ただ、もう一方の南アフリカという国も、
近隣諸国をはじめ、
国連からの経済制裁にめげずに
アパルトヘイト政策を30年弱も続けてきました。
この「粘り強さ」は一体どこから由来しているのか?
本書では取り上げられていない、この部分が気になります。
マンデラは2013年、95歳の天寿を全うしました。
そういえば、マンデラの葬儀のときにあった、
「偽物手話通訳事件」を覚えていますか?
AFPの記事:マンデラ氏追悼式の手話通訳は「でたらめ」
おしかり承知で申し上げますと、
この本の表紙をはじめとした、
マンデラの素敵な笑顔の写真を見るにつけ、
この事件はマンデラ流の何らかのメッセージだった気もしています。
総文字数16,390 YL3.9